
お盆を控え延岡市北川町は仏事に用いられるシキミの収獲で活気づいてきました。同町熊田の矢野光一さん(37)は毎日、約30分かけて園地(2ヘクタール)のある同町下塚の実家まで通います。ピークの7月中旬から8月上旬に向けて収穫だけでなく園地の管理にも余念がありません。
矢野さんは就農12年。
一時県外で会社員として務めていたが家業継承のため帰郷した。現在は父・茂さん(70)、母・恵子さん(63)と園地を守ります。5品種を栽培。7割はバランスが良くボリュームのある「定光」早生。通年出荷ですが、お盆前と彼岸(3月、9月)、12月は多忙を極めます。
収穫は男性陣、選別は全員で行います。予防は矢野さんが担当します。収穫したシキミは70センチと1メートルに分けて切りそろえ、それぞれ一束にしてダンボール箱に入れて出荷します。
選別に関しては矢野さんも「母は古い葉や汚れなどを瞬時に見抜く。シキミを束にするのはパズルのように難しいが、父は芸術作品のように組み合わせて作っていく。父と母にはまだ学ぶべきことが多い」と両親に一目置きます。
生産量を落とさず、作業時間を短縮をするのが当面の目標。「家族との時間を大切にしたいから」と心優しい矢野さんです。
同町は県内有数のシキミ産地。生産者でつくる北川町しきみ部会の部会員は50人。栽培面積100ヘクタール。昨年度の取扱高は1億7000万円。北川町産のシキミは日持ちするのが特徴。JA延岡を通して西日本地区を中心に全国に出荷します。
